作家

二足歩行を始めた仲間、解放された二本の腕、そして十本の指・・・。

それを道具に。何かを想い、何かを願い、何かを祈り、何かを創り始めた。ある仲間は石を、ある仲間は骨を、ある仲間は木を、そして足元の土を、その始原の思いを今に、霊峰石鎚山に抱かれ、育まれ、そして醸し出された空気、水・・・。

一塊の粘土を時々刻々と指紋を付けながら、造形、思索を繰り返し、形が見えてくる。身の回りの趣く物を燃やし、灰にして釉薬に。
成り行きに任せながら流れ行く窯の内、雰囲気。
その趣く先は果たして、意中の物か・・・。

繰り返し繰り返し、既に40有余年。
これからも流れの中でこだわりの棹で舵を取り、果たして目的地まで何時になったら辿り着けるのだろうか。

陶芸家 平井 秀和